走 る

ぱたぱた
ぱたぱた
僕は走る

いつも歩く道
今日に限って
僕は走ってく

君がいなくなってしまう前に
君のいる部屋へぱたぱた走る

ぱたぱた
ぱたぱた
ぱたぱた

馴染の店を通り過ぎる
見向きもせず走り去る

合鍵を使って
ドアを開ける
君はいなくて
代わりに手紙

紙切れなどいらない
君がいない世界など


君がいない世界など僕には死界に等しい


僕は力なく膝をつき
がらんとした部屋で
ただただ泪を零した

闇が空を包み
目は赤く腫れ
泪も枯れ果て
酷い顔の僕は
ドアを閉めた

僕は走る
ぱたぱた
ぱたぱた

君を追いかけ
ただただ走る

もう逢えないと知りながら
愛しい君の幻を追いかける

愛しい君の幻を追いかけて僕はぱたぱた走る