軌跡

君と歩いた軌跡を
僕はただ立ち止まって眺めていた。
過去を振り返るというよりは
過去にしがみつくように。

ドラマみたいに劇的じゃなくて
何かの拍子に知り合って
恋をして
将来の話をして
君が笑って
僕が笑って
ただ仕合わせだった。
仕合わせだったんだ。

でも今は
僕の横に君はいない。
君との軌跡はもう作られない。

君は他の誰かと軌跡を作るのだろう。
僕はその軌跡から目を背け
一緒に歩く他の誰かを見つけるまで
独りで軌跡を作っていく。